「堕天使とボノボ」振り返り①

プロジェクト「Act」Tokyo第三回公演「堕天使とボノボ」は11月26日無事千秋楽を迎えることができました。スタジオに足を運んで下さった方々、スタッフ、キャストの方々、そして挿入曲を提供して下さったHeavensdustさん、改めてお礼申し上げます。


今回のテーマは、人間の最も根源的な欲求のひとつ「性欲」でした。

性欲は、食欲や睡眠欲と同様、健康な人間の誰もが持ちうるものでありまがら、それを表面化することが禁忌とされています。

筆者としては、なぜ男は女性の胸の膨らみに目をやりながら「君のことが好きだ。幸せにしたい」と言ったり、なぜ勝負下着をつけた女が「セックスには興味がない」と言わなければならないのか。本当はしたいのにどうして嘘をついてまで性欲を我慢しなければならないのかというような疑問が出発点でした。

もし、もっと男女の関係がフラットで、性がオープンだったら、男は、女性に贈るプレゼントの額面に頭を悩ます必要もない。ムキムキの身体も、気障なセリフも必要ない。頼れる男のメッキを塗る必要もない。

もっと男女の線引きが曖昧で、女性が完全に自立できる世の中だったら、女は、毎朝出かける前に化粧をしなければならないという強迫観念に追われる必要もない、ポーチがはち切れんばかりに詰め込まれたメイク道具もコスメアイテムもダイエットグッズも全部手放してありのままで日々を送っても誰にもなにも言われない。好きな相手とセックスしても尻軽女と嘲笑されることもない。高収入の男達から好き好んで値踏みされる必要もない。

誰もが「君とセックスしたい。でも一緒に幸せにもなりたい」、「あなたとセックスしたい。でも別にあなたのものになるわけではない」と普通に言える世の中だったら、どれだけよかっただろうと思ったわけです。

性の抑圧は、最終的に不幸しか生み出しません。強姦、痴漢、DV、不倫、浮気、盗撮、セクハラ、売春、枕営業、変態……。

もっとも根源的な欲求でありながら抑圧されている「性欲」がもっと開放されたボノボのような世の中だったら、どれだけ生きやすいだろう。

世の中は所詮人の集まりで、文化や常識、考え方なんてものは、専ら人の成すことなのだから、一人ひとりが変われば世の中は必ず変わります。

何が正しいなんてものはない、ただ、どう選ぶかは自分次第。

一人の人を一生愛する考え方だって、たくさんの人を一度に愛する考え方だって、セックスを伴わない愛情だって、セックスだけの関係だって、全部認めてあげられたらどれだけ素晴らしいかって思います。

そんな世の中になればいいなと筆者は今この瞬間も強く思います。

作品以外の場所で語るのは筆者の仕事ではないのでここで多くは語るつもりは本当はなかったのですが、テーマがあまりに壮大過ぎて120分の作品に全てを込めることがどうしてもできなかったので、つい語り過ぎてしまいました。何卒ご容赦下さい。

稽古が始まったのは10月の初旬。女性ばかりが集まってまず配役オーディションをしました。

そこで、晴夏役と京子役に名乗りを挙げたのが、佐々木さん、服部さん、川原さん、青木さんの四人。この日例のセット破壊のシーンを演じてもらったのですが、その四人の演技を見て(今回は面白くなる)と確信しました。


アンケートは前回を遥かに上回る98人の方々から(来場者数160名)頂きました。

「再演を希望するか」の項目は、

希望する・・・53人

希望しない・・・5人

どちらでもない・・・4人

無回答・・・36人

という結果でした。

正直のところ、タブー的なテーマを取り扱ったところや挑戦的な演出から考えてもっと厳しい結果になることを予想していましたが、思いの他前向きな評価を頂きました。

特に今回20代男女からの反響が大きかった印象です。筆者としては、既存の価値観に染まりきっていない若い世代に向けて発信したつもりだったので、幸いでした。

作品として魅力のあるものができるのではないか、という気はしていたのですが、テーマそのものがセンシティブで、開明的な内容だった今回。ツイッターでもこの作品に関する情報全て「センシティブ」扱い(恐らくボノボに掛かっている)つまり、ポルノ扱いの状態でした。

今回の作品を制作するにあたって多くの引用をした「性の進化論」という著書では、農耕牧畜社会(=文明)によって新たに生まれた「所有」という概念そのものが、戦争、紛争やあらゆる暴力やあらゆる争いの根源になっているという趣旨の主張や帰結が各所で見られます。

本作品でその点に直接触れることはできなかったのですが、今の社会で推奨されている、競争原理、功利主義、一夫一妻といった概念が実は人間を幸福すると同時に不幸にもしているのではないか。そう思うのです。

これらが正しいとか間違っているとかではなく、個々が闇雲に流されることが一番あってはならないと思うのです。

やっぱり語り過ぎてしましました。

今回はこの辺りにして、次回は公演そのものを振り返りたいと思います。







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